The Idiot, the Curse, and the Magic Academy

Chapter 115



クラスメイトと魔法大会の話をした後、家に帰る。

そして、着替えようと思い、制服に手をかけると、ノックの音が聞こえてきた。

「何ー?」

ノックをしたということは母さんだろう。

『ツカサ、いいかい?』

この声は……

俺は扉に近づき、開ける。

すると、そこには金髪横分けのイケメンが立っていた。

「エリク君じゃん!」

「ツカサ、久しぶりだね」

エリク君が微笑む。

マジでかっこいい。

「本当に来たんだ?」

「ああ。少しの間だけど、よろしくな」

「まあ、入ってよ。すぐに着替えるわ」

エリク君を部屋に入れると、急いで着替えだす。

「あ、ツカサ。ちょっと待って。お婆様に写真を撮ってこいって言われているんだよ」

エリク君はそう言ってスマホを取り出す。

「写真? なんで?」

「嬉しいんだろ。お婆様、ツカサが魔法学園に行くって聞いたら泣いてたくらいだからな」

よー泣く一族だわ。

「ちょっとニートしてただけなのに」

「ウチでは毎日のように会議が開かれてたよ。毎回、お婆様がツカサをパリに呼ぶべきだっていう結論に至り、お爺様がまだ若いんだから好きにやらせるべきという意見とぶつかってた」

遠方の地で家族会議が開かれてる……

すまぬ……

「婆ちゃん、嫁さん探しもしてただろ」

「それは昔からしてる」

せんでいいわい。

「まあいいわ。さっさと撮ってよ」

そう言いつつ、机から86点の基礎学の答案用紙を取り出し、見せつけながらピースする。

「お婆様を泣かせに来るねー」

「小遣いくれるだろ」

「相変わらず、策士な兄妹だこと。撮るよー」

エリク君がスマホで写真を撮った。

「もういい?」

「オッケー」

撮り終えたらしいので制服を脱ぎだす。

「トウコとは会った?」

「まだ帰ってないみたいだね。魔法大会があるんだろ?」

「それそれ。今年から全員参加だってさ」

「本当に急に変わったね。僕らの頃は賭けで盛り上がるくらいの小さいイベントだったのに」

やっぱり賭けてたのか。

「一回も出てないんだって?」

「誰に聞いたの?」

「ミシェルさん」

「あの子か……護衛なんだってね」

婆ちゃんとエリク君は例の事件を知っているんだったな。

「そうそう。護衛なんかいらないんだけどな」

「まあ、ツカサは強いしね。でも、何があるかわからないから一応は付けてもらうよ」

ミシェルさんは邪魔しない人だし、むしろ、魔法大会のことで助けてもらってるから構わない。

「エリク君、その件で来たの?」

「その件もあるけど、魔法大会の変更のことと日本での仕事がメインだね。あとお婆様から死ぬ前に顔を見せてっていう伝言を言いに来た」

あの婆さんは死なんだろ。

「パリは遠いんだよなー。ゲートでどうにかできない?」

「当たり前だけど、勝手に国をまたぐのは違法だよ。だからわざわざ日本に来たんじゃないか。飛行機の中、暇だったよ」

不法入国はダメか。

「バレなくない?」

「正直に言えば、家の中だけなら見逃されるね。寮生でも遊びに行く人達はいたよ。でも、外に出るのはアウト」

フランクのゲートを使って、フランクの家に遊びに行くのはオーケーなのね。

「エリク君はどこからアストラルに行くの?」

「ツカサのところから行こうかと思ってたけど、トウコと兄妹であることを隠しているんだろ? だからミシェルにお願いするよ」

ミシェルさんの家から行くのか。

「いやー、悪いね」

「そこまで気にすること? お婆様も首を傾げてたよ」

「気にすることなんだよ。婆ちゃんがトウコと同じクラスにするなんて余計なことをするしさ」

普通、避けるだろ。

高校生だぞ。

「君らはセット感が強いからね」

なんでだよ。

個々を見ろ。

俺とエリク君が話をしていると、隣の部屋から音が聞こえてきた。

「あ、トウコも帰ってきたな」

「ちょっと挨拶してくるよ」

エリク君はそう言って部屋を出ていく。

俺は着替え終えたので漫画を読みだした。

『エリク君だー!』

あいつ、声でかいな……

『お兄ちゃーん! エリク君だよー!』

知ってる。

『お兄ちゃーん!?』

うるせー……

仕方がないので立ち上がると、隣の部屋に行く。

すると、当たり前だが、制服姿のトウコとエリク君がいた。

「あ、お兄ちゃん、エリク君だよ! レア!」

「俺はもう会ったよ。何ならさっきまで部屋におったわ」

「あ、そうなんだ」

わかるだろ。

「あ、トウコ。写真撮っていい? お婆様から撮ってこいって言われてる」

トウコの分もか。

「私より元ニートじゃない?」

「ツカサはさっき86点の答案用紙と一緒に撮った」

「あっそ」

トウコは机の中から紙を取り出し、エリク君に向かってピースする。

その紙は薬草学の100点の答案用紙だった。

「やると思ったわ」

「お小遣いくれるかもしれないじゃん」

「はいはい。相変わらず、同じことを言うね……撮るよー」

エリク君はそう言ってスマホをトウコに向け、写真を撮った。

「可愛く撮れた?」

「撮れた、撮れた。ツカサと同じポーズでお婆様も満足だと思うよ」

一言いらん。

「じゃあ、俺達は隣にいるからな。さっさと着替えろ」

「わかったー」

俺とエリク君はトウコの部屋を出ると、俺の部屋に戻っていく。

「お前ら、なんで閉めないの!?」

お前も閉めんだろ。

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